【第147回健康セミナー】熱中症になる人・ならない人〜漢方で考える夏の備え〜

 10年以上、月1回続けている健康セミナー「自分の健康は自分で守る」。
第147回のテーマは「熱中症になる人・ならない人」についてお話ししましたので、その内容をご紹介します。

今年の6月は「涼しかったからこそ危険」

2025年6月に福山市で熱中症で救急搬送された方は約75人。今年(2026年)は、というと、約15人と大幅に少なかったそうです。「良かった」と思いたいところですが、ここに大きな危険が潜んでいます。その理由は記事の最後の「暑熱順化」でお伝えします。

なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか

一番大きな理由は体の中の水分量の割合です。

  • 赤ちゃん:約75%が水分
  • 20〜30代:約60%
  • 70〜80代:約50%まで減少

熱中症や脱水は、体の水分がたった2%失われるだけで頭痛やめまいなどの症状が出始めます。もともとの水分量が少ない高齢者は、それだけ早く危険ラインに達してしまうのです。

熱中症が起こる「4つの段階」

熱中症は突然なるものではなく、段階を追って進みます。

  1. 熱がこもる … 気温・湿度・日差し・運動の条件が重なる
  2. 熱を逃がせなくなる … 加齢で汗が出にくい、もともと水分不足
  3. 脱水 … めまい、こむら返り、頭痛、倦怠感、吐き気
  4. 意識障害 … 痙攣を起こし、体温が40度以上に

3の症状が出た時点で、すでに熱中症です。意識があるうちに迷ったら、救急相談窓口#7119(24時間対応)へ電話しましょう。意識がなければすぐに119番です。

見落としがちな「湿度」の危険

気温ばかり気にされがちですが、実は湿度が重要です。暑さ指数(WBGT値)は主に気温と湿度で決まり、例えば「気温30度・湿度70%」は「気温35度・湿度50%」よりも危険度が高いのです。気温30度でも湿度80%なら運動は中止レベル。お部屋の温度計だけでなく、湿度計もぜひ気にしてみてください(快適の目安は40%です)。

あなたはどのタイプ?熱中症になりやすい5つの体質

漢方では、熱中症になりやすい体質を5つのタイプで考えます。予防に使う漢方薬とあわせてご紹介します。

タイプ主な特徴おすすめの漢方薬
①気虚(ききょ)疲れやすい・汗かき・息切れ・食欲がない補中益気湯、六君子湯
②陰虚(いんきょ)喉が渇く・手足がほてる・寝汗六味丸、知柏地黄丸
③湿熱(しつねつ)体がベタベタ・胃腸が弱い・太り気味・暑がり防風通聖散(便秘気味の方に)
④瘀血(おけつ)肩こり・腰痛など痛みがある・冷え性・顔色が暗い桂枝茯苓丸、冠心逐瘀丹
⑤水滞(すいたい)むくみやすい・尿量が少ない・汗が少ない薏苡仁(はと麦)、五苓散

ぴったり一つに当てはまらなくても大丈夫。「自分はこのあたりかな」と知っておくことが予防の第一歩です。

熱中症になってしまったときの漢方薬

大汗・強い喉の渇き・発熱――この三大症状がそろったときに使うのが白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)。体の熱を冷まし(清熱)、水分を生み出す(生津)働きがあります。2000年も前の書物に記されている、歴史ある処方です。

食養生:身近な食べ物で夏に備える

  • 熱を冷ます:きゅうり、トマト、なす、スイカ、ゴーヤなどの夏野菜
  • 潤いを補う:梨、ぶどう、桃、豆腐・豆乳
  • 元気(気)を補う:山芋、お米などの穀類、かぼちゃ
  • ミネラル・塩分補給梅干し・味噌汁・塩昆布で十分です

スポーツ飲料や経口補水液は、糖分が多いので、日常使いにはオススメしません。あくまでも、スポーツ時や脱水になったときのためのもの。日常の予防には、昔ながらの梅干しと味噌汁が理にかなっています。

逆に、アイスクリームや冷たい飲み物・冷たいビールの摂りすぎは胃腸を弱らせるのでご注意を。

今からやっておきたい「暑熱順化」

冒頭の「涼しい6月が危険」の答えがこれです。涼しい6月を過ごした体は暑さに慣れていないまま、7月に一気に30度超えの暑さを迎えます。これが熱中症の大きなリスクになるのです。

体を暑さに慣らす「暑熱順化(しょねつじゅんか)」のためにできること:

  • 我慢できる範囲で、冷房に頼りすぎない
  • 少しずつ汗をかく練習をする(散歩など)
  • シャワーで済まさず、湯船に浸かってじわっと汗をかく(10分ほどでOK)

おわりに

酷暑の夏、暑さから完全に逃れることはできません。だからこそ、自分の体質を知り、食事とちょっとした習慣で備えることが大切です。

漢方薬選びに迷ったら、ぜひ当店までお気軽にご相談ください。あなたの体質に合った夏の養生を一緒に考えます。

美泉堂薬局 薬剤師・鍼灸師 西谷 啓

投稿者プロフィール

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創業65年の信頼と経験。
美泉堂は「病名のない不調」や「検査では見えない不安」に、
漢方・鍼灸・波動セラピーの三本柱で向き合っています。
あなたの"本来の元気"を一緒に取り戻しましょう。