第146回 梅雨の体調管理 ― 漢方で考える「だるさ」の正体と養生法

 第146 回の健康セミナーは「梅雨の体調管理」というテーマでお話ししました。
詳しくは、YouTubeにアップしているので、そちらもご覧ください!


「雨の前になると、なんだか頭が重い」「梅雨に入ってから、体がだるくて仕方ない」――そんな声が増えるのが、ちょうど今の季節です。

気圧や気温差で起こる、いわゆる「気象病」――頭痛・肩こり・重だるさ・むくみ・寝つきの悪さ――を、東洋医学の視点からわかりやすく解説しました。


梅雨の不調は「湿邪(しつじゃ)」のせい

東洋医学では、病気の原因を 外因・内因・不内外因 の3つに分けて考えます。梅雨の不調で主役になるのは、環境からやってくる 外因(邪気) です。

邪気には6つの種類(六淫)があり、梅雨にいちばん悪さをするのが「湿邪」。

湿気は、まるで霜が降りるように体に重くのしかかり、だるさや頭重感を引き起こします。五行(木・火・土・金・水)でいうと梅雨の季節は、ちょうど「」にあたり、「土」に対応する臓は 脾(ひ)=消化器。だから湿邪が入り込むと、食欲が落ちたり、消化不良を起こしやすくなったりするのです。

「梅雨のだるさ」と「胃腸の不調」がセットでやってくるのには、ちゃんと理由があるのですね。


あなたはどのタイプ? ― 梅雨の不調4タイプ

梅雨に出る症状は、大きく4つのタイプに分けられます。ご自分がどれに近いか、チェックしてみてください。

タイプ主な症状東洋医学の見方
Aむくみ・雨の日に不調・頭が重い・
めまい・尿が出にくい・下痢
気滞(気の滞り)
B昼に眠い・疲れやすい・胃もたれ・
軟便・食欲不振
脾虚(消化機能の低下)
C天気に左右される・風邪をひきやすい・
汗かき・息切れ
気虚(気の不足)
Dイライラ・ため息・お腹が張る・不眠気鬱(気のうっ滞)

タイプ別・代表的な漢方薬

タイプによって、合う漢方薬も変わってきます。代表的なものをご紹介します。

  • 気滞(Aタイプ):五苓散、苓桂朮甘湯 ― めまい・下痢・耳鳴りにも
  • 脾虚・気虚(B・Cタイプ):補中益気湯、平胃散(胃もたれに)
  • 気鬱(Dタイプ):六君子湯、半夏厚朴湯、逍遙散

なかでも 半夏厚朴湯 は、「喉に梅の種が詰まったような感覚(梅核気)」によく効く薬です。心当たりのある方は、ぜひ覚えておいてください。

※ 漢方薬は体質との相性が大切です。実際に服用される際はご相談ください。


食養生 ― 旬のものは、ちゃんと理にかなっている

体から湿を取り除いてくれる食材は、ちょうど今が旬のものばかり。自然はよくできています。

湿をさばく食材

  • 小豆
  • とうもろこし(ヒゲは利尿作用のある立派な漢方で「ナンバン毛 」という生薬になってます)
  • オクラ
  • きゅうり(※冷え性の方は控えめに)

気を流す薬味

  • シソ、ミョウガ、ショウガ(チューブ入りよりは、できれば生で!!)

熱中症(暑邪)対策に

  • 海の塩をかけたスイカ(本物の塩には、ミネラルがたっぷり!)

冬の根菜が体をじっくり温めてくれるのに対して、夏野菜は サッと火を通す のがコツ。「地産地消」「身土不二(しんどふじ)」という考え方は、やはり理にかなっています。


ツボと体操

おうちでできるセルフケアもご紹介します。

おすすめのツボ

  • 足三里 … 消化器系に
  • 陰陵泉・三陰交・湧泉 … 湿をさばく
  • 合谷 … 頭痛・頭重感に

※ 妊娠中の方は、三陰交への強い刺激は避けてください。(特に妊娠初期は、流産を引き起こすことがあります)

肩こり体操

  • 肩をグッと上げて(首を短くして)、ストンと落とす
  • 腕を大きく回す(首の付け根から回すイメージ)
  • 肩を後ろにそらして、胸を張る

まとめ ― 梅雨の養生は「温めて・動いて・出す」

梅雨を快適に過ごすポイントは、この3つです。

  1. 温める … 冷やすのは厳禁。お風呂や温かいスープで体を温めましょう
  2. 動く … 体を動かして、汗をかく(夏に向けて体温調整しやすい体に!)
  3. 出す … 汗や尿で、余分な水分を出す

「出るもの」は心配いりません(便秘になると、梅雨時期は体調悪化しやすいので要注意です)。

2000年以上前から伝わる東洋医学の知恵は、今も変わらず私たちの暮らしに役立ってくれます。じめじめした季節も、体を上手にいたわって、元気に乗り切っていきましょう。

美泉堂薬局 薬剤師・鍼灸師 西谷 啓


投稿者プロフィール

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創業65年の信頼と経験。
美泉堂は「病名のない不調」や「検査では見えない不安」に、
漢方・鍼灸・波動セラピーの三本柱で向き合っています。
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