第141回 漢方から見た冬の養生法
〜冬は「守り」と「蓄え」の季節です〜
美泉堂薬局では、毎月健康セミナーを開催しています。
第141回のテーマは 「漢方から見た冬の養生法」。
今回は、冬を元気に乗り切るための考え方と、体質別のセルフケアについてお話ししました。
※セミナーの様子はYouTubeでもご覧いただけます。
■ 冬は「守る季節」
東洋医学では、冬はエネルギーを外に使うのではなく、体の奥に蓄える季節と考えます。
特に大切なのが「腎(じん)」。
腎は
・生命力
・成長・老化
・泌尿器
・骨やホルモンバランス
などと深く関係しています。
冬に無理をすると、春以降の体調にも影響が出やすいため、
食養生+生活習慣の見直しがとても重要になります。
■ 冬に体調を崩しやすい理由
・寒さ → 血流や代謝が低下
・乾燥 → 喉や皮膚、粘膜が弱りやすい
・腎への負担が増える
「冷え」「疲れ」「むくみ」「頻尿」などは、冬にとても多い不調です。
■ 冬の生活養生の基本
今日からできるポイントはこちらです。
・入浴は38〜40℃で10〜15分
・足首・腰・お腹を冷やさない
・睡眠をしっかり取る(腎の回復時間)
・散歩やラジオ体操など軽い運動で巡りを良くする
無理をしないことが、冬養生の最大のコツです。
■ タイプ別・冬に弱りやすい体質と対策
① 冷えタイプ(気血不足)
特徴
・手足の冷え
・疲れやすい
おすすめ食材
黒豆、黒ごま、いわし、椎茸、ひじき、ねぎ、シナモン(黒っぽい食材・海の食材)
漢方の考え方
体を温め、巡りを良くすることが大切。
② 乾燥タイプ(水不足)
特徴
・喉や皮膚の乾燥
・便秘、ほてり
おすすめ食材
れんこん、白きくらげ、梨、豆乳、アーモンド、はちみつ(白っぽい食材)
養生ポイント
加湿・こまめな水分補給、熱すぎるお風呂は控えめに。入浴後は保湿をこまめにする。
③ むくみ・水はけが悪いタイプ(水毒・水滞)
特徴
・むくみ
・体や頭が重だるい
おすすめ食材
はと麦、冬瓜、昆布、しょうが(水捌けをよくする食材)
注意点
甘い物、脂っこい物、パン類の食べ過ぎに注意。(ここが重要です!!)
④ 疲労・頻尿タイプ(腎虚)
特徴
・疲れが取れない
・腰が重い
・夜間頻尿
おすすめ食材
黒ごま、山芋、くるみ、小豆、もち
養生ポイント
下半身を冷やさず、夜更かしせず睡眠を大事に。
■ 冬に避けたいもの
・冷たい飲み物
・生野菜、夏が旬の食材
・砂糖の多いもの
・暴飲暴食
「体を冷やす・消耗させる習慣・恐ろしいこと・驚くこと」は控えめにしましょう。
■ まとめ
冬の養生のキーワードは
「温める・潤す・蓄える」。
自分の体質を知り、無理をせず、
冬の養生が、春を穏やかに迎えるポイントです。
冬の養生が足りない人は、春の肌荒れや花粉症が悪化しやすい傾向にあります。
春に元気に動き出せる体を今から整えていきましょう。
美泉堂薬局 西谷加奈子
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